海外からの模倣品の輸入は税関で差し止めよう
近年、海外から模倣品が輸入されて国内で流通してしまうというトラブルが増えています。
このようなトラブルに対して、税関で水際対策を行うことにより国内に模倣品が入ってしまうことを防止することができます。
税関は全国に9箇所配置されており、それぞれの税関の本関及び官署等において知的財産の侵害物品の取締りが行われます。
令和元年の統計によれば、税関における輸入差止件数が約2万4千件、輸入差止件数が約100万点となっております。
また、輸入先については中国が全体の約83%を占めております。
知的財産別にみると、点数ベースで商標権侵害が85%を占め、次いで意匠権侵害が8.4%、著作権侵害が4.5%となっております。
税関において海外からの模倣品を水際で取り締まるにあたり、商標権や意匠権が必須となります。
ここで、商標権を取得するための商標登録出願は商品の販売後でも可能ですが、意匠権を取得するための意匠登録出願は商品が世に出される前に行う必要があります。
このため、商品がヒットして模倣品が海外から輸入されてしまうことを見越して、意匠権や商標権の取得を前もって準備しておくことが望ましいといえるでしょう。
株式会社MTGの模倣品対策の活動を紹介します
このような税関を積極的に活用している会社として、平成26年度「知財功労賞」の経済産業大臣表彰を受賞した株式会社MTGが挙げられます。
同社の税関差止事例のページによれば、トレーニングギアSIXPADや美顔ローラーReFa CARATの多数の模倣品を税関で差し止めており、模倣品対策に力を入れております。
同社は2009年に美容機器の目玉商品として「プラチナ電子ローラーReFa(リファ)」の販売を開始し、大ヒットを遂げましたが、そのときに本格的に模倣品に悩まされたとのことです。
株式会社MTGの美顔ローラーと模倣品
(特技懇第50号 寄稿2「株式会社MTG 当社の模倣品対策について」より
http://www.tokugikon.jp/gikonshi/276/276kiko02.pdf)
この経験を活かし同社は知財活動を本格的に開始しました。
最初は模倣品の販売業者に対して警告状を送付したが、いったん販売をやめた販売業者が新たに別の販売ページを立ち上げることを防ぐことはできず、根本的な解決にはなりませんでした。
このため、次の手として税関に対して同社の意匠権を侵害する物品の輸入差止の申し立てを行いましたが、このアクションは大成功をおさめ、ネット上の模倣品の販売は激減したそうです。
また、同社は意匠権以外に商標権でも輸入差止申請を行っています。
このように、模倣品に対しては意匠権や商標権を活用して税関での水際対策を行うことが非常に有効であるといえるでしょう。